2016年5月29日日曜日

日本では何人に一人盗撮犯がいるのか計算してみた

私が民泊に酷似した環境の中で遭遇した盗撮事件が非常に稀なケースなら民泊においても盗撮防止対策を実施する必要はありません。
しかし、今回の事件は起こるべくして起こったように思えてなりません。


なぜなら、
試しに「日本の年間盗撮発生件数」を計算して、何人に一人盗撮犯がいるのかを計算してみたところ、今回の事件の犯人ホストが登録していた仲介サイトの登録ホスト数に近い数字が出てきたからです。


計算は以下の通りです。



まずは「日本の推定盗撮事件発生件数」




発生件数と他の件数の関係は一般的には以下のようになっています。

発生件数>発覚件数>届出件数>認知件数>検挙件数>逮捕件数>送致件数


送致件数とは

警察が犯人の身柄や証拠物や書類を検察庁へ送る件数のことです。
「検察庁へ送る」 ので略して「送検」と言われますが、正式には「送致」と言います。
日本では裁判にかけるため起訴するかどうかは検察庁の検事が判断します。このため警察は起訴するかどうかの判断を検察庁に任せるため送致を行います。

送致には被疑者の身柄を送る「身柄付送致」と「書類送致」の2種類があります。
逮捕や身柄の拘束が必要ない場合や、逮捕したものの48時間以内に警察から被疑者が釈放された場合は、書類のみを検察に送ることがあります。これが「書類送検」です。

軽犯罪の場合、送致件数と検挙件数にかなり差があります。軽微な犯罪ということで、送致するほどではないと警察が判断したり、被害者が加害者と示談するなどして被害届を出さなかった場合などは送致されないためです。

逮捕件数とは

文字通り警察が被疑者を逮捕した件数のことです。
被疑者の逃亡の恐れがない場合は、任意同行というかたちをとります。
軽犯罪の場合、逮捕ではなく任意同行というかたちをとることが多いようです。
データを見つけられなかったので断定はできませんが、軽犯罪の窃視の罪の場合、送致件数より逮捕件数の方が少ないかもしれません。

検挙件数とは

警察が被疑者を特定した件数のことです。
逮捕した件数ではありません。「こいつが犯人だ」と警察が犯人を特定した件数です。
ですから、検挙したものの逮捕できなかった数字も含まれます。

認知件数とは

警察が「確かに犯罪が起きました」と認めた(認知した)件数のことです。
被害者が被害届を出そうとしたり、通報したりしても、警察が犯罪が起きたと認めなければ認知件数には含まれません。認知件数=発生件数ではありません。
ウィキペディア 認知件数とは

届出件数

警察に被害届を出した件数のことです。
警察に被害届を不受理とされた件数も含みます。ただ、一部の犯罪についてのデータはあったのですが、全犯罪についてこのようなデータは確認できませんでした。ですから、実態がどうなっているのかはわかりません。




では各数字を見ていきます。
一番確かなデータから計算しようと思ったので、警察庁統計から数字を探したんですが、なぜか迷惑防止条例違反は検挙件数だけで送致件数が記載されておらず、軽犯罪法違反は逆に送致件数だけで検挙件数が記載されていませんでした。

どうしてなんでしょうね?

本当は届出件数から送致件数まで全てのデータを警察庁は把握できるはずなので全部公表してほしいんですが、犯罪白書にも警察白書にも全部は載ってないし。どこを探したら全部確認できるんでしょうか?どなたかご存知でしたら教えてください。今回はとりあえずわかっている数字から計算してみます。



盗撮事件の検挙件数

日本での盗撮は主に軽犯罪法違反と迷惑防止条例違反で取り締まられています。
軽犯罪の窃視の罪は送致件数しか確認できませんでした。
送致件数が検挙件数より少ないことは考えられないので、送致件数を検挙件数の代わりとして計算していきます。

盗撮犯罪は住居侵入罪で検挙されることもあります。
ただ、住居侵入罪は窃盗などでの侵入も含まれていますので、今回は計算から除外しました。ですから、実際の盗撮事件の検挙件数はもっと多いと思われます。そのことを頭に入れながらこの計算をご覧ください。


迷惑防止条例違反(盗撮)検挙件数 3265件(平成26年度)
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/n62_2_6_2_1_1.html

軽犯罪(窃視の罪=覗き)送致件数 423件(平成26年度)
http://www.npa.go.jp/toukei/soubunkan/h26/pdf/H26_08.pdf

3265+423=3688件


盗撮事件の発覚件数

性犯罪の警察への相談の割合は以下のように低いことを考慮します。
13.3%(法務総合研究所「第3回犯罪被害実態(暗数)調査」)
http://www.moj.go.jp/content/000010429.pdf
4.3%内閣府3年に1度行っている「男女間における暴力に関する調査」
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/pdf/h26danjokan-gaiyo.pdf
http://shiawasenamida.org/m05_02_02

盗撮事件でもこの数字を裏付けるように警察が検挙にこぎつけても被害者が被害届の提出を拒むなどして立件に至らなかった割合が50%を超えるという事態も発生しています。
http://ecpatstop.jp/news/2011/09/1184
警察が知らないところで届け出を諦めている割合は相当程度あると思われます。

仮に盗撮事件の警察への届け出が発覚件数の10%とすると
発覚件数=3688件×10=36880件


盗撮事件の発生件数

盗撮が被害に気がつきにくい犯罪であることを考慮すると、
実際の発生件数は発覚件数の2倍3倍も十分に考えられます。
仮に発生件数が発覚件数の3倍とすると
発生件数=36880件×3=110,640件




何人に一人盗撮犯がいるか

犯人は男性ばかりではありませんが、男性が大半なので
日本の男性人口(15歳~64歳+65歳以上)
53,584,000人
を発生件数で割ります。
人口推計 平成28年4月報 総務省統計


53,584,000人÷110,640件=約484人に1人盗撮犯がいる

一人の犯人が複数の事件を起こしている場合もあるので一概に484人に一人とは言えませんが、誰が犯人なのかわからない状況で盗撮防止対策を講じるとすれば、やはり500人程度の規模に対して対策を講じる必要があると言えます。

女性がホストの場合も、本人や女性の家族や知人が盗撮カメラを設置することも考えられますから、やはりホストが500人程度いれば一人くらい悪意のホストがいてもおかしくないという計算になります。

今回の事件が発生した仲介サイトのホストもこれと大差ないような登録数でした。

大手仲介サイトのAirbnb(エアービーアンドビー)の日本の登録部屋数は約3万室。
ホスト数はおそらく数千以上。
仲介サイトは他にも多数ありますから、ホストの実数は数万かもしれません。

ゲストが犯人の場合も考えられます。
ゲスト数はホスト数の数十倍~数百倍はあると考えられます。
ゲストが犯人の場合も想定すると、ホストが犯人の場合よりさらに少ないホスト数でも警戒しなければなりません。

本当にそんなに盗撮が発生しているの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
みなさんの中でこれまでに痴漢に遭われた方はどの位おられますか?
女性の方は複数回被害にあったという方もたくさんおられるはずです。
盗撮犯の動機は痴漢の犯人と同じものがあります。
さらに、販売して金銭に変えたいという動機の犯人もいます。
ですから、盗撮をしたいという欲求を持った人間の数は痴漢の犯人と同数程度かそれ以上と考えられます。
痴漢は被害に遭えばすぐ気がつきますが、盗撮は被害に気がつきにくい犯罪です。
私も今回の事件が偶然発覚しなければ自分の被害に気がつかないままだったと思います。


私は民泊の盗撮防止対策を求めて、下記のアドレスで盗撮防止対策に関するアンケートを行っています。みなさんのご意見をお寄せください。どうぞよろしくお願いいたします。

http://goo.gl/forms/sZSpGTVegxIGeRAz1



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