2016年5月26日木曜日

日本の民泊での盗撮は何の罪にもならない場合がある

悪用される恐れがあるので、盗撮事件の被害者としてはこんな投稿は本来したくないのですが、日本の民泊での盗撮は何の罪にもならない場合があります。

みなさんに日本の法律の現状を知っていただいて、民泊での盗撮防止対策の必要性に気がついていただければと思います。

気が重いですが話を始めさせていただきます。

まず、日本では盗撮をどういう法律で取り締まっているかご説明します。

日本には盗撮罪という罪はありません。
日本の法律の中に盗撮罪という罪が条文化されていないからです。

では、どの法律で盗撮行為を取り締まっているのか。
迷惑防止条例、軽犯罪法、住居等侵入罪(刑法第130条)で取締りを行っています。

それぞれの法律でカバーできる「場所」に違いがあるのですが、どの法律でもカバーできない「場所」というのが存在します。
民泊のある「場所」は、まさに法律でカバーしきれない「その場所」なのです。

以下にそれを裏付ける内容を専門家の文書2点から引用します。

軽犯罪法と迷惑防止条例とのいずれもが処罰対象としていない領域がある(中略)公共の場所又は公共の乗り物ではなく、人が通常衣服を着けているような場所における盗撮は、両者の処罰対象外(以下文書中6ページ目)
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/refer/pdf
(盗撮行為を規制する刑事法をめぐる論点 行政法務課  間柴 泰治)

ホテルの個室も「公共の場所」に当たるというのですが、「不特定多数の人が、同時に利用し得る性質」じゃないから、「公共の場所」に当たらないと思います。(下記ページ内 奥村徹弁護士の見解)
http://okumuraosaka.hatenablog.com/entry/20110421/1303371836
(いわゆる迷惑防止条例(痴漢・盗撮)における「公共の場所」について)


ホテルの個室が「公共の場所」に当たらないということは、民泊の個室も「公共の場所」に当たらないということになります。
つまり、民泊の個室は迷惑防止条例適用外ということになります。

では、軽犯罪法が適用できるかどうか。
まず、軽犯罪法の条文を見てみます。
 「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」は拘留または科料に処すると規定されています(1条23号)。
つまり、軽犯罪法が適用される条件は以下の2種の場所のいずれかに該当し
  •  他人の「住居、浴場、更衣室、便所、そのほか人が通常衣服をつけないでいるような場所」(公共の場所以外)
  • 本人の所有物件の「浴場、更衣室、便所、そのほか人が通常衣服をつけないでいるような場所」(公共の場所以外)
 以下の2種の条件いずれもに該当する場合です。
  • 正当な理由がない撮影
  • 相手の同意なき撮影
まとめると、
本人居住の本人所有物件で、
人が通常衣服をつけている場所(公共の場所以外)は、
正当な理由なく、
相手の同意もなく撮影しても
軽犯罪法は適用されないということです。

本人の住居なので住居侵入罪も適用されません。
以下住居侵入罪にならないという弁護士さんの見解 (弁護士ドットコム)
https://www.bengo4.com/c_1009/c_1197/b_455169/#answerId_1281991

要するに、ホストがホスト居住のホスト所有物件で民泊の部屋を盗撮しても何の罪にもならないという解釈が成り立ちます。

民泊の部屋を「人が通常衣服をつけないでいるような場所 」と解釈されれば別ですが。
大体の方はほとんどの時間服を着ていると思います。
着替えの短い時間を「通常」と解釈されればいいのですが。


さらに、何とか他の刑法が適用できないか見ていきます。

わいせつ物公然陳列罪、名誉毀損罪
販売や配布の事実がない場合、適用されません。

このように民泊での盗撮は刑法が適用できない場合も考えられるので、民間レベルの盗撮防止対策を講じておく必要があります。

民泊における盗撮防止対策を求めるアンケートを下記で実施しています。
6月20日に中間集計結果をとって、観光庁観光産業課で行われている「民泊サービスのあり方に関する検討会」に提出予定です。
所要時間は5分程度です。
どうかご協力のほどよろしくお願いいたします。
http://goo.gl/forms/sZSpGTVegxIGeRAz1


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